

ミュージック・ギフト・トゥ (初回限定盤)(UHQCD)(DVD付)(特典:なし)
- アーティスト: 村治佳織
- 出版社/メーカー: Universal Music
- 発売日: 2021/12/01
- メディア: CD
当方がギターを再開したのも。彼女の影響が大きいでしょう。
敢えて書けば,彼女とバルエコでしょうか。イョラン・セルシェルが最も好きでしたが,学生時代知っていたギタリスト名といえば,若手の彼以外にはセゴビア,ブリーム,ジョン・ウィリアムス,むろん各国に大家がいたのもある程度知っていましたが,今の様にばんばん聴ける環境ではありませんでした。
何回か書いていますが,バルエコを再開時まで知りませんでした。NHKの芸術劇場で視聴した「バッハ,アルベニス,武満」で衝撃を受けました。山下和仁さんは良く知っていましたが,福田進一さんも知りませんでした。故・渡辺範彦さんは伝説の人になりましたが1年間NHKのテレビで見ていました。荘村清志さんは阿部保夫さんの次に知ったギタリストで,初期のスターでした(今もそうですが)。故・芳志戸幹雄さんも忘れられません。古い世代でありながらも現代的演奏を先取りしていた人だと思います。
上手い人は沢山沢山出てきましたし,村治さんが現れる前からも福田スクールは頑張っていたのだろうと思いますが,やはりその中でもスターでした。
彼女の演奏を知ったのは,NHK-FMに出演した12,3歳の頃だったと思います。コストの「秋の木の葉」の第3番とか,ジュリアーニの「ジャスミン」とか洒落た小品とかその辺の演奏でした。しばらくして,デビューアルバム「エスプレッシーヴォ」が出たので即買いでした。その後は,出れば必ず買う事にしていました。
若い女子の瑞々しい演奏。それまでクラシックギターというと,オジサン趣味,演歌の伴奏といったイメージがどうしても付きまとい,古典音楽分野にはセゴビアという神様がいて。。。という,やや沈滞したイメージだったと思います。どの世界にも新鮮な空気が必要だったのでしょう。バルエコの折り目正しい演奏と共に,村治さんの滑らかな技術と瑞々しい感性に惹かれました。
◆
今回のアルバムは,最近の公演で弾かれるネオクラシカル分野のレパートリーを過去録音からの収録に加え,ミュージカル≪キャッツ≫の「メモリー」は新録音となっています。最近のコンサート活動での弟君の奏一さんとの重奏も入っているほか,曲目自体彼女自身の選曲だそうです。
この記事へのコメント
U3
スペインを何度も訪れている間に、フラメンコの伴奏などで重要な役目を果たす、クラシックギターの演奏を聴くのが、大好きになってしまいました。
それ故の村治佳織ファンです。
たこやきおやじ
バルエコのNHK芸術劇場は私も再開のきっかけになりました。録画は今でもDVDに焼き直して大切にしています。特にBWV1006は頂き物のバルエコのレコードも持っていますが、東京文化会館の演奏の方が格段によいと思っています。
村治佳織ちゃん失礼村治佳織女史のCDも、その内購入してみようと思っています。(^^;
Enrique
フラメンコの伴奏だとジャンルとしてはフラメンコギターだと思います。ただ,クラシックジャンルでも,フラメンコ的奏法をしますし,フラメンコ分野でもクラシコ奏法をやります。
楽器も入り乱れていまして,フラメンコ分野でも故パコデルシアのようにクラシックギター楽器を使う人もいます。私のメインの楽器は一般にはフラメンコギターとされるものですが,クラシックギターとして使っています。
多分一般の音楽愛好家には音楽の区別はついても楽器の区別はつかないと思います。
どちらも直接は19世紀スペインのアントニオ・デ・トーレスが先祖の楽器です。面白いことに,アコギやエレキはそれ以前の楽器がアメリカにわたって変化したものです。
Enrique
沈滞ムードだったギターへの興味はバルエコで呼び起こされました。ブログでそう書いている人を何人か見かけました。たこやきおやじさんもその一人だったわけですが。むろんジョンウィリアムスもいたし,デイヴィッドラッセルもいたわけですが,旧世代の演奏とは異なるエッジの立った演奏はガツンとやられた感じがしました。
一方,村治さんの演奏は,そのみずみずしさ,生きの良さで,「クラシックギター」=「オッサン御用達」のイメージを打ち砕いてくれました。当然のことながら初期のころから随分と成熟したものになって来ています。聞き比べてみるのも感慨新ただと思います。
風神
そんな私が好きなギタリストは、石川鷹彦さんとCharさんです。
Enrique
お二人とも名前は知っていますが,残念ながら演奏内容はよくわかりません。ものすごくジャンル別けがあります。むろんクラギは最もマイナー分野ですが。
枝動
クラシックギターの音楽をよく知りませんので、うまくコメントできませんが、
昔聞いたイエペス先生の「禁じられた遊び」は、その素晴らしさを覚えています。
すみません、これぐらいしか語れません。
八犬伝
村治佳織さんのお名前は、存じて上げております。
そうでしたかあ
12,3歳からデビューアルバムを出されていたのですね。
やはり、凄い人なのですね。
U3
もうすぐ最終章始まりますよ。
日付が変わる頃ですが(@^▽^@)
Enrique
最初の数小節は,メロディだけ押さえて伴奏は開放弦で弾けてしまいますので,行けそうな気がするのですが,その後で挫折するのですね。
曲の魅力でもあり罪作りなところでもあります。
Enrique
村治佳織さんは,マイナー分野だったクラシックギターをクラシック音楽外の人にも知らしめた功労者です。それまでは大学のサークルでやった。仕事でやめた。再開。当方もそうですが,そんなパターンが殆どだった様に思います。彼女以降,小さいうちからレッスンを受けた基礎のしっかりしたギタリストが増えてきた様に感じます。
Enrique
通読させていただきました。
改めて感慨ひとしおですね。
oga.
「私、若い頃ギター弾いていたことあるんだけど」
「エレキ?アコースティック?」
「クラシック...」
「え、ギターにクラシックってあるの?」
てな具合で説明するのに苦労してたんだけど、今は
「村治佳織さんが弾いてるやつ」
「あ~彼女ってうまいね」
なんて話がつながるようになりました。
それでも、
「あ~クラシックギターって、アルペジオで弾くやつね」
と言われてまた
「違う違うアルペジオはクラシックギターの演奏法のほんの一部で~」
と説明を加えて熱くなる...ってのを繰り返してますが。
ちなみに私がよく聴いていたのは、庄村清志さん、山下和仁さん、芳志戸幹雄さん、阿部保夫さん、西垣正信さん、ジュリアン・ブリーム、ジョン・ウィリアムス、ロメロファミリーといったところです。
セゴビアとイエペスは別格ですが。
よしあき・ギャラリー
Enrique
確かに,「ギターって掻き鳴らすもの」というイメージを持つ人が多くて,例えばバッハを弾くとかいうと,「どうやって掻き鳴らしてバッハの曲を弾くの?」というのが,音楽をやる人との会話でした。
「アルペジオ」というのも,「掻き鳴らさない方の奏法」というくらいの意味なのでしょう。ギターでクラシック音楽をやるとか五線譜を使うとかいうのが,多くの人は信じられなかった様です。ソルの時代の200年前とか,セゴビアの時代の昭和年代と余り変わらなかったようですが,少なくとも平成以降の日本で,クラシックギターを周知させてくれた業績は大きいと思います。
Enrique
彼女は演奏に加え人柄も素晴らしいですね。
幾つもの苦難を乗り越えている姿も感動的です。
Ujiki.oO --> MP3音源再生テスト
PRになりますけど、MP3音源再生テストをクリックし、黒色のスピーカーのようなアニメーションGIF画像をクリックすれば、あの2016製のFLASH|HTML5自動切り替えの複数音源連続再生プレイヤーを起動できます。個人的には「ゲスト 松尾エリカ」が温まれます。 Alexandra Whittingham ちゃんも、松尾エリカも、再生だけでなく、非アフィリエイト・ハイパーリンクも表示されます。一興にどうぞ(失礼しましたあーーっ!) iPhone や、 MACでは、どうですか? 当方の Android や MS-Win10 Opera|Firefox|Chrome|Edgeでは鳴ります。
U3
村治佳織さんのお話次々と繋がっていて読んでいて楽しくなりました。
もっと多くの人がクラシックギターに接してほしいものです。
そういえば報道番組のコーナーで村治佳織さんが片膝を立てて数曲演奏していたのを思い出しました。
何かに集中している人の姿って美しいと思ったものです。
拙ブログ最終章、いっぱい追記しました。
ではでは。
oga.
コードからギターに入った場合は、クラシックギターの五線譜を弾くというのが理解できないというの、納得できます。最近はコードとスケールをもっとやっとけばよかったと逆に反省してますが。
U3さん、村治さんのフォームって、私はすごく斬新でした。
クラシックギターでは左足を足台に乗せて右足をがばっと開いてその上にギターを乗せて弾くのが男性のフォームですが、女性は足が開けないので右足を後ろに引いて弾きます。ところが彼女はロングスカートで男性フォームで弾くのにまず驚かされた。その方がギターが安定して、演奏に集中できるんですけど。
その後、男性フォームで弾く女性ギタリストを何人か見ました。チェロなどは女性も足を開いて弾きますけど。
Enrique
Alexandra Whittinghamさん,イギリスの若手ですね。
村治さんもすっかり中堅になり,次の世代の20代くらいの上手い人がたくさん出て来ました。
構えや押さえ右手のタッチなど,演奏技術が大幅に向上しています。昔の大家の演奏はもう聴けなくなっています。
Enrique
>片膝を立てて数曲演奏
彼女の様に左膝に乗せるのはクラシックギターの標準的構えなのです。クラシックギターの人はみんなそうしています。細かい変遷はありますが,200年以上前からその構えなのですが,フラメンコギターにしろアコギやエレキでも右膝に乗せたり,ストラップでぶら下げて立奏したりするものですから,クラシックギターの構えが却って奇異の目で見られる様です。
御記事再度チェックさせてもらいます。
Enrique
足を広げて構えるのは,斎藤明子さんとかもそうでしたね。
昔は女性の構えというのが有ったようですが,現在は有りませんね。みなさん男性フォーム?で構えていると思います。
逆に荘村清志さんは昔女性フォームでしたね。
むろん現在は,モダン・フォームです。
現在では両手を離しても楽器がピタリと静止するのが基本です。
左膝と右膝,胸の3点支持です。それも技術が上がった一つの要因です。古いフォームで弾いている人もいますが,どうしても昔風の技術になってしまいます。
楽器の構えを始め,右手左手の技術,ここ20年くらいでかなり変わっています。
oga.
70年代にNHKの「ギターをひこう」で阿部保夫先生が、「男性は」「女性は」とフォームを教えていたのが私の中にあり、さらに大学のギター部では女性がみんな女性フォームで弾いていたのでそれが当たり前と思い込んでいました。
私は当時たまに足を組んで右膝にギターを弾くこともありましたが、これってギターが左右に揺れて安定せずに苦手でした。
庄村清志さんは昔も男性フォームだったよなぁって思ってググってみたら、男性フォームも女性フォームも足を組んでるのもいろんな写真が出てきました。あんまりこだわりのない方か、あるいは試行錯誤の方なのかなあと思いました。
うーん、クラシックギターの話が止まらない...
Enrique
当の荘村さんは,74年後期のNHKテキストの裏表紙の大きな写真は,明らかに女性フォームです。イエペスの影響も大きかったのだろうと思います。イエペスもクラシックギターの奏法を改革した人でしたが,現在ではやや古くなっています。荘村さんは50歳を過ぎたあたりで,現代フォームに変えています。古い奏法では弾けなくなったからと言う理由です(むろんイエペスから学んだものは多かったとは思います)。
再開される方はどうしても当時へのノスタルジーで,古いテキストを使ったりしがちですが,楽譜は良いとしても(運指も技術変化に従い変わっています),フォームや技術面に関する記述は参考にされないほうが良いと思います。
セゴビアは神格化された大家なためか,かつてはセゴビアの奏法の一部でも真似たいという学習がありました。セゴビアの右手フォームは,それが理想とかつては(当方も含め)皆さんそうやっていましたが,現在では手を痛めるので厳禁と言われています。超人の様な人の真似が出来るわけもないのですが,現在からすれば非合理な考え方での指導や練習がなされていた様です。
練習曲の取り扱いでも,昔カルカッシは,ピアノのバイエルだと十把一絡げにバカにしていましたが,現在Op60の25曲は中級の最も重要な練習曲になっています。面白いことに,フォームでも200年前のカルカッシのほうが余程現代のフォームに近いですね。
現代奏法に関しては,当ブログで過去に何度か記事を上げていますが,どれだったか今探し出せません。
oga.
フォームを「男性」「女性」の2択で分類しちゃうのは、ちょっと乱暴だったかなと反省しております。私がイメージしてる女性フォームってのは、荘村さんの過去のとはちょっと違っていて、誰かいないかなと探してみたら小原聖子さんの過去の写真がそうでした。でも彼女も写真を見る限りお年を召されてからは(失礼)「現代フォーム」で弾かれているように思えます。
奏法といえば、私は阿部保夫先生がNHK「ギターをひこう」で指導していたスタイルが基本にあって、例えば右手は手首を軸にだらんと下げて弦に直角に弾く、と指導されました。しかし私はこれが苦手で、手首を曲げずに弾いていたら大学の時に先輩に「それで良い、手首を曲げる弾き方は古い」と言われました。今思うと、当時でも演奏のスタイルは変化していってたのだと思います。阿部保夫さんの名前を出すと「過去の人だから」と言われてしまいました。
セゴビアは、当時は録音を聴いても恐ろしく古臭くてあまり眼中になかったのですが、社会人になってギターを弾かなくなってから聴き返したら、その自由奔放な世界に一時期はまってしまったことがありました。古い、でもその味がまたたまらない、といったところでしょうか。
カルカッシは何曲かは弾いてるとは思うのですが、あまり印象に残っていません。今聴きなおしたらまた別の発見があるかもしれません。
Enrique
20世紀に入ったあたりから,クラシックギターの構えなり奏法がガラッと変わってしまっています。やはりバルエコあたりが転換点だったかと思います。かつてはプロでも,はっきりと分かるようなミスをしたものですが,現在の人たちには分かるミスが殆どありません。技術的には惚れ惚れするほど向上しています。荘村さんに限らず古い人たちも新しい考え方を取り入れています。
荘村さんの古いスタイルを学んでもあまりよろしくないのと同様,阿部保夫さんの教えを守る必要もないですね。阿部保夫さんがもし生きていたら,新しいスタイルを取り入れている事でしょうから。しかし,オールドスタイルにこだわりがある人もいて,それは好みでしょうが,せっかく技術が進歩して合理的な方法論になっているのですから,良い演奏をしたければ,昔の非合理性にこだわる必要は全くないと私は考えます。
セゴビアに関しては,今も神格化している人がいます。ギターの世界=セゴビアの世界を作り上げた点では素晴らしいもので,文字通り神様でした。自己スタイル確立やレパートリー拡大の労などは大いに学ぶべきだと思います。ただその世界にはまっているだけではダメというのは,わざわざジョン・ウィリアムズに語らせなくても,その後のギタリストたちの演奏が雄弁に語っていると思います。
カルカッシのOp60の25曲に関しては,芳志戸幹雄さんは当時から重視しており,レコードの録音も残しています。現代を先取りしていた人だと思います。早世は本当に惜しいことをしました。
Cecilia
昔のCDですが「グリーンスリーブス~シェークスピア時代の音楽」が気になっています。
Enrique
無理が祟ったのか,手の故障2回,舌腫瘍と3回くらいの病気を乗り越えて,現在元気でご活躍中です。コロナ禍もありますが,かつてのように芸能人のような活動は控えている感じです。
私は初期の頃のCDは全部買っていましたので,グリーンスリーブス~は持っています。デビュー2作目ですね。確か打楽器のような音も入っていたりして素朴で良いですね。
Ujiki.oO --> @Alexandra Whittingham - Classical Guitar Concert 2021 | Scarlatti, Coste, Sor and more - YouTube
マイクの位置が特別なのでしょうか? ギター本体に貼り付けている。 または、遠方から望遠マイクでギター本体の共鳴だけをひろっている。 すると、生演奏を聴けば「きゅっきゅ」が聞こえるのでしょうか?
Enrique
現在,クラシックギターの演奏では,「キュキュ」と言う音はダメ演奏の見本みたいになっています。最新技術を身につけた奏者はほぼ出しません。
彼女の演奏でも少ないですが少しは出ていますね。
力を抜かないまま移動すると発生するので,キュッという音が出ちゃったら,「あれ,ダメな弾き方しちゃったわ」という,一種のメルクマールになっています。出しちゃうとチョット恥ずかしい演奏と言うことになります。
私のようなシロウトでもハゲシク出たりすると,「あっちゃー」と,出さないように練習します。
あの音が好きでタマランという人には残念な時代になってしまいましたが,演奏技術の向上の結果ですので喜ぶべきとは思います。