色々書いてきました(ここでは紹介しませんが,興味ある方は過去記事検索してみてください)。
いまだに書いているという事は,完全には解決していないという事です。
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以前ほどのひどい症状は無くなりましたが,どうしても不随意に体が硬直します。
当方なりに「おまじない」の様なものはありますが,うまく行った時の体の感覚を思い出してみるのも一つの手でしょう。何が原因か結果かはよく分からないもののフィードバック系を形成してしまっているので,まずいフィードバックループ(悪循環)を断ち切らなくてはいけません。
症状としては息が浅くなっているので,腹式呼吸を意識すべきでしょう。フィジカル面のポイントとして,骨盤を下げるのが良いと以前指導者から助言を受けたのですが,いつも間にか忘れています。やってみると呼吸だけでなく肩の緊張もほぐれるようです。
音楽面では頭の中でよく歌う事でしょうか。緊張すると,いくつもの注意事項などは何処かにすっ飛びますから,最重要な一つだけを心掛けるべきでしょうし,その一つですら忘れますから,体での習慣づけが必要です。
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メンタル面では適度な緊張による集中が重要でしょう。集中は必要ですが,頭が真っ白になって冷静な判断力を欠くような過度な状態はいけません。
そうならない様に!といくら思ってもなりますから,そうなってしまっても,自動的に弾ける様に準備しておく事はむろん重要でしょう。
その様な一連の,上がった時の対処法やそうなりにくい事前準備,等々が自然にできている状態が場馴れというものなのでしょう。
場馴れすれば上がらないか?といえばそう単純でもなさそうです。
むろん年1回の発表機会では場慣れなどなさそうなものですが,当方ギターを再開した1999年にステージに上がりましたが,ちょっとトチッタもののそんなに上がりませんでした。2000年もそうでした。この頃マイク使用で,PA音が少々遅れて出て来るので,これを聴いてしまうと絶対とちる!と直感しましたので,極力音は聴かず頭の中で歌って弾きました。今から思えば却ってこれが良かったようです。
2002年もまだ大丈夫でしたが,2003年あたりから何故か激しく上がりだしました。ある年など,頭真っ白,全身汗ぐっしょりになりました。上がるのが当たり前の定常状態になってしまいました。この頃を思い出せば,この頃から全くの新曲に取り組み出し,曲の難易度も上がったのです。加えて苦手な暗譜の不安が増した事も言えるでしょう。
不安要素を一つでも取り除こうと,暗譜を止めました。
フォームの改善を図りました。一時期の様な酷い上がりは無くなり,あまり上がらない年もありましたが,また最近上がりだしています。
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当方なりに本番ステージで上手くいかない原因を考えてみます。
・練習時と音の聞こえ方(など)が異なるから,そのシミュレーションが十分できていない。「あれ練習時と異なるぞ」と感じてしまうが,その対処が上手くいかない。
・緊張してフィードバック感度が高くなっている。
具体的な体の変化としては,当方の場合は肩の緊張で,特に右手が動かなくなります。
危ないぞ。と分かっていても,そうなってしまいます。改善は難しいです。
過度に反応せず適度に体をあずけることでしょう。力を抜く。抜いた方が上手くいく事を体に知らせてやることです。
「楽しむ」事が重要だろうと思います。もともと何の為に楽器を弾いているのか?と言えば楽しむ為です。むろん,楽しむ為にはツマラナイ曲を弾いても楽しめません。
ただ「楽しむ」ためにはある程度余裕が必要です。能力ギリギリの曲目ではそこがネックになります。しかしながら,余裕持って弾けるような曲だと今度は楽しめないと,またこれがジレンマになります。まあそこはバランスの問題,ある程度の妥協が必要でしょう。
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永年弾いていても場数が少ないというのはどうしてもあります。
人によっては,コンクールに挑戦したり,同好の演奏会に出席したり。普通に考えられる対策でしょう。
当方は,若い頃は人前で喋ることは苦手でしたが,流石に良い歳になると割と平気になりました。しかしながら,再就職した職場での挨拶は結構上がりました。聞いていた人たちからもそのことが分かった様でした。
その理由を考えてみれば,対象者が今までの雰囲気とは異なり,殆どが初対面の人たちです。やはり何か「分からない」不安というものはあるものです。
その年の忘年会の挨拶ではあまりあがりませんでした。むろん慣れと言ってしまえばそれまでですが,対象者はほぼ同じ以外は,会場,場の雰囲気,マイク使用有無などが異なりますので,単なる慣れと断定することもできませんが,当方自身にとっての一実例ではあります。
良い例が妻です。
ピアノとチェンバロをやっており,年に何回もステージに上がっており,ギター発表会はそのうちの一つ。確かに慣れない楽器ということで上手くはありませんが,全然上がらない様です。家では上手く弾けていなくても,本番の方では何とかまとめます。指導者もその事には舌を巻いている様です。
ここに,ヒントの一つがあると思います。本番でうまく弾ける様に家で必死に練習する訳ですが,環境が変わると,まず同じ様には弾けません。音の聞こえ方の相違が大きいと思います。むろん本番のホールで毎日練習できれば,かなり良いとは思いますが,それは我々にはできません。むろんプロだってそんな事できないでしょうから,普段から本番のステージで弾くことをイメージしておくのが肝要でしょう。
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よく夢を見たものです。
全然練習していない曲をいきなり大ホールで弾かないといけない。
全然勉強していない状態で大事な試験に臨んでいる。
下着を着けてない状態で人前に出なければいけない。
こんなのを夢で見るのは,無意識下でも本番に対する恐れがあるのでしょう。
当方の本番前のおまじないとしては,ストレッチ,リラックス効果のハーブティー(カモミールが良いと思っています)を飲む,バナナを食べる。などでしょうか。妻の様子を観察すると,事前のオマジナイの様なものは特になくて,オシッコをしておくことくらいの様です。
神の様な演奏をする超一流のプロの方でも,本番直前はバリバリに緊張している方もいる様です。
しろうとが過度に緊張するというのも,少々おこがましいのかも知れません。無邪気に愉しんでも良いのかもしれません。
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「~しない。」ということは出来ないものです。
しようとせずになってしまう事を,しないようには出来ません。
過度な緊張はしないようにとは思ってもしてしまう(なってしまう)わけですから,「~しない」ではなくて,「~する」ことで,コントロールを取り戻さないといけません。では何をしたら良いのでしょう?
当方が聞いたり読んだり経験したことを列挙してみます。
体をリセットする。
伸び,柔軟体操など。当方の場合,8ポンドハンマーを振り回すのが体のコリを取るのに好適です。自力で行けないところまで体を伸ばせます(これは当日出来ませんので前日までに済ませます)。
リラックスする。
笑顔が一番。レシービング・モード(誰かに評価される)でなくギビング・モード(皆さんに聴いてもらう)。本番前に弾き過ぎない(不安を増幅するだけ)。
楽しむ!何分好きでやっている事ですから!
これに尽きるかもしれません。
楽しんで上手く弾けるのか,上手く弾けたから楽しいのか,どちらが先かは良く分かりませんが。
当方がこの記事を書いている途中,緊張とその解決法に関する本を見つけました。この本の骨子は,適度な緊張はパフォーマンスを上げ,演奏など複雑なタスクのパフォーマンスを下げる過度の緊張はトレーニングで十分解決できるとの事です。

~「緊張」がパフォーマンスを高める!~ 音楽家のためのメンタルトレーニング
- 作者: 大木 美穂
- 出版社/メーカー: ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
- 発売日: 2023/11/28
- メディア: 単行本

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