シャコンヌを弾いてみる〜音階の同定〜

ごちゃごちゃ言わずにひたすら練習する,という態度も必要でしょうが,闇雲に弾いても仕上がりが遅いばかりか,それなりの演奏にしかなりません。

そこでと言っては何ですが,各部分が前回示したどの音階にハマっているか見ておくのもムダではなさそうです。そうしておけば,特にスケールが弾きやすくなりそうです。
前回挙げた音階の種類を,再度置いておきます。
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スケールの種類。
それと実際の楽譜の各部とを見比べながら,どこにどの音階が使われているか見て行きます。

変奏的な形式ですが,いわゆる変奏曲と異なって,だいたい8小節単位で絶え間なくどんどん変化して行きます。

冒頭(の不完全小節を1小節目と数えることにします)から,9小節目の1拍目までが変奏曲ならばテーマということになり,9小節目の2拍目からは第一変奏です。ここらは,C音にのみ#が付いていますので,D調のいわゆる和声的短音階だと言えます。全く教科書通りというか,バッハの曲などでの使われ方が教科書になったのかは知りませんが。

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冒頭から。C音にのみ#がついているので,和声的短音階のよう。
何の変哲もないテーマですが,むしろ単純なテーマほど変奏されたものが劇的になる様な気はします。それはそうと,次に進みます。冒頭から第9小節の1拍目までをテーマとするならば,第1変奏に対応するのが,第9小節目の2拍目から第17小節の1拍目までです。ここまではテーマと同じくC音に♯が付くだけですから和声的短音階と言えます。つづく第2変奏に相当する部分,第18小節から第20小節では低音部が半音階で下がって行きます。半音階進行はバッハではよくあることではありますが,それと共に新たな臨時記号が現れます。それまでC音のみについていた♯がF音につき(第19小節),更にはB♭が♮になります(第19小節)。B♮はDの短音階が旋律的になる変化とも言えますが,この辺は部分的な転調でしょう。属七→解決的な様相が続きます。

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第16小節から。新たにFの♯やBの♮が現れる。
この辺は,楽曲解析としては面白いのでしょうが,演奏上はさほど困らないのでここでは深入りはしません。そんな雰囲気で弾ければOKといった感じで進みます(つづく)。

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