少しでも演奏がラクになるよう,音階の同定をしていました。当然難しいスケールは取り出しての部分練習となりますが,どんな音階か分かって練習した方が仕上がりが速いからです。
という事で,スケール以外はほぼ無視でした。前回からの続きでは,怒涛のアルペジオに突入するわけですが,ギターと言う楽器はもともと,スケールよりもアルペジオが得意な楽器(音階が順に並んでいる鍵盤とは逆)ですので,アルペジオ部分はすっ飛ばすとすると,それ以降そんな難しいスケールは出てきません。殊に♯2つのニ長調になったところなどは,ほっとします(曲想的にもそんな感じです)。つくづくギターは♯系が得意な楽器だと痛感します。
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速いスケールの同定を終えて,次は運指の検討に入りたいと思います。校訂者の運指を使うのも基本ですが,やはり自分に合うものを模索します。むろん場当たり的に弾きやすいものを探すよりも,付けた方のねらいも理解した上での総合的判断(当方のキライな言葉)という事になります。何と何を勘案してそうしたとでも言わない限り,「総合的判断」なるもの単なる独断と変わりませんので。むろん最終的には独断です。自身で演奏する以上,弾きやすさや好みで決めるのは当然のことですが,どこをどう考慮したかが重要です。
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アルペジオ部分をあらためて取り上げれば,当方にとって弾きにくいところが,1,2ヶ所あります。
まず,ここ(譜例1. 第103, 104小節)です。第103小節の3拍目とつづく104小節の1拍目。

譜例1. 第103小節の3拍目とつづく104小節の1拍目にmaの「股割り」が発生します(佐々木編)。
続く困難ポイントはここ(譜例2. 第103, 104小節)です。
最高音のB♭をオクターブ下げる編曲も見られますが,やはりここの跳躍はアルペジオ中のアクセントでしょうから,楽器が違うとはいえ,これを下げたのではツマラナイと言わざるを得ません。むろん佐々木先生もオリジナルに忠実な編曲ですが,弾きにくいです。

譜例2. 第107小節の最高音の跳躍(佐々木編)。
ちなみに,バッハはここの一連のアルペジオのパターンをすべて書いてあるわけではありません。冒頭の小節でパターンを示した以降は一種のコード譜の様なもので音符で和音のカタマリが書いてあるだけで,それをアルペジオにバラして下さいというものです(譜例3,第89小節から)。その記譜で続く当該箇所(第107小節)は,譜例4です。佐々木先生はギター的に高いFを重音で追加されています(他のossiaも示されています)が,原譜どおりに,このFは省略させて頂きました。ここの左手の技術としては当方は斜めセーハで乗り切っています。

譜例3.ヴァイオリン譜でのアルペジオ開始部分(89小節目から:ベーレンライター原典版)。

譜例4.ヴァイオリン譜でのアルペジオ用の和音(107小節目:ベーレンライター原典版)。高音のB♭とDに加え矢印て示した延びている低音FとB♭の計4つの音でアルペジオを弾けば良いわけです。
[1]シャコンヌを弾いてみる
[2]シャコンヌを弾いてみる〜練習方針〜
[3]シャコンヌを弾いてみる〜音階の同定〜
[4]シャコンヌを弾いてみる〜音階の同定・つづき〜
注記:譜例2が間違っていましたので,入れ替えました。
この記事へのコメント
よしあきギャラリー
ありがとうございます。
Enrique
奥様にもご覧いただいているとは!
光栄です。
予約投稿の記事を見直してみて,ミス箇所を修正しております。奥様にもお知らせ願えれば幸甚です。
プー太の父
素人にはチンプンカンプンです( ノД`)
てんてん
ふるたによしひさ
Enrique
>
>すごい難解そうな音符ですね。
原譜は譜例4なのですが,アルペジオ(分散和音)にして楽譜に書くと難しそうな譜例1や2の様になってしまいますが,むしろクラシックギターの人は楽譜に書いてもらわないと弾けないのですね。
Enrique
「B!ブックマーク☆」をありがとうございます。
Enrique
既読!ありがとうございます。