スケール部分を弾きやすくするため,各スケール部分がどの音階にハマっているか見ています。今回はその続きです。
譜例1にスケールの種類を再掲しておきます。
譜例1. スケールの種類。
前回からかなり飛びます。むろんここまでの部分でも楽曲解析的には興味深い部分はありますが,ここは楽曲解析ではなく,スケールの同定ですので,速いスケールが現れる第65小節から見ていきます(譜例2)。第65小節・66小節は下降のニ短調の自然短音階に見えますが,第66小節最後の音でE♭として,ト短調を想起させ,67小節はその様ですがやはり最後から2つ目の音でE♮として,ニ短調の旋律的もしくは和声的に戻るようです。
譜例2. 第64小節から。
つづく,第69小節から71小節にかけてはストレートなニ短調の自然短音階が続きます。音階は変わりませんが1音づつ下がる事で旋法的色合いを変えていきます。つづく第72小節では冒頭の音がC#となり,和声的もしくは旋律的がミックスしたニ短調音階となっているようです(譜例3)。
譜例3. 第69小節から。
続く74小節からのスケールは,F#音が現れて,ト短調の旋律的となっている様です。息をつかせずに,76小節に突入。3拍目最高音B♭でニ短調に戻る事を暗示している様です(譜例4)。
譜例4. 第74小節から。
スケール部分を締めくくって,次のアルペジオ部分に突入するための派手な動きが第85小節からです。第85小節の調はニ短調の旋律的短音階に,続く86小節はイ短調の旋律的短音階に見えます。87小節はニ短調(自然?)短音階,つづく88小節は五度下げていますが,ト短調と言うわけではなく,続くアルペジオのニ短調につなぐために調はそのままの様です(譜例5)。
譜例5. 第79小節から。
89小節目から,怒涛のアルペジオに入ります。今回はここまでです(つづく)。
なお,フーガの技法や対位法などの観点からすれば,適切な専門用語等があるかもしれませんが,楽曲解析ではなく,あくまでもスケールの種類にこだわっております。
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