難しそうな名前ですが,ようは入った電流と出た電流との(時間積算)収支で見てやるわけです。鉛バッテリーならば,電解液の比重で見る方法はありましたが,リアルタイムでは無理。Liイオンバッテリーではそれも無理ですが,その分電池本体にBMS(バッテリーマネージメントシステム)が組み込まれていて,SOCと充放電の管理を行なっているようです。
クーロンカウント法といえ,充放電電流の時間積算をしないとけませんが,一番簡単なのは開放電圧を見る方法です。下図は昨年導入した太陽光発電による蓄電池の1日のデータです。バッテリーは48V230Ahの容量ですが,アプリの表示のSOCは(どういう演算をしているのか知りませんが)ありえない変動を見せます。もっともこれのバッテリー電圧は開放電圧ではなく負荷がつながった状態の端子電圧ですから,充電時は上がり放電時は下がるのは当然として同時に充放電電流も考慮しないとまるでアテになりません。それにしても酷いです。特に,バッテリー電圧52V以上・SOC60%以上のデータは全く信用できません。まあこの辺が満タンだと思っていれば腹は立ちませんが。

ハイブリッドインバータSRNE HF8450U80-Hとそのアプリで見た本年1月5日の充放電による。
SOC:59%の表示ですが,ほぼ100%と読み替えないといけません。
当方が昨年太陽光発電電力の蓄電用に買ったときは,まだ同容量ではお値段が2倍以上異なりましたので,伝統的な鉛ディープサイクルバッテリーを購入しました。こちらの方がずっとコストパフォーマンスがよいと思っていましたが,そうでもないようです。
半年あまり使ってみた感触では,鉛蓄バッテリーで使える蓄電電力は,定格容量の半分もありません。
その一つの原因は,表示の容量(アンペア時[Ah])なるものが,「20時間率*」というもので,20時間掛けてじわじわと放電した際の容量を言っているからでしょう。例えば,12V100Ahのバッテリーだと,電力容量は単純には12×100=1200Whのはずで,単純計算で1200Wのものを1時間稼働させられるはずです。しかしメーカーの表記などを見ると19分とかです。本来の容量を使い切るには,60W以下の電力でじわじわと20時間以上掛けて使ってやる必要があります。
それを考慮してもさらに少なく感じます。使用のハイブリッドインバータのBMSのマズさもありそうですが,これは装置任せで仕方ありません。
やむを得ない自然放電に加え,実際にはバッテリーの電力を直接使うのではなく,インバータを通して使いますから,そのロスもかなりあるのではないかとも思います。インバータを外した状態でのバッテリー電圧の変化をみないと何とも言えませんが。定格容量の10分の1とまではいかないまでも,2,3割程度しか使えていない気がします。
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そこへ行くと,インバータを通すのは共通としてもLiイオンバッテリーはかなり定格に近い電力量が使えるらしいです。
かりに同定格でも2倍の電力量が使えれば,お値段が2倍違ってもOKですし,しかも何倍も長寿命となれば,もう鉛蓄電池を使う必要も無いのかな?とも思えてきます。実際,昨夏に買ったバッテリーの銘柄は既に製造中止のようです。むろん,Liの様な希少な金属を使わず,鉛のリサイクルも確立しており,安さと安定性から言って,まだまだ良いことづくめだと思っていたのですが,製造していないとなれば仕方がありません。
昨夏導入した鉛蓄電池がこれからどのくらい持つか分かりません(一昨年導入の2台は既にへたり気味です)が,次回の交換時は間違いなくLiイオンバッテリーでしょう。
なおここで示したデータやそれに対する見解は当方のシステムについての話であり,一般論ではない事を断っておきます。
*電力容量[Ah]は5時間率だと思っていましたら,20時間率でした。クルマの始動用バッテリーは5時間率ですが,ディープサイクルバッテリーは20時間率の様でした。
この記事へのコメント
よしあきギャラリー
Enrique
寿命はよく分からないので「必要な時購入」につきますね。
てんてん
いっぷく
リチウムイオン電池の優位性が価格低下によってさらに際立っているという話は納得です。長寿命で定格に近い容量が使えることを考えると、初期投資が高くても十分元が取れるように思えます。
Enrique
「B!ブックマーク☆」ありがとうございます。
Enrique
ご理解いただけたコメントをありがとうございます。当方自身かなり誤解しておりました。使ってみて初めて気が付いたという有様ですね。 これから試みられる方のご参考になればと思います。