電気の食い方を知る~節電のために~

コメは高いわ,電気代は上がるわ。

食品や公共料金などの物価高は庶民の生活直撃です。
食品は安いところで買うか,主食のコメは大いに困りますが特定の物品なら消費を控えるかしかありません。


電気の節約は可能ですが,案外何が電気を食うか余り知られていないのが現状です。電気の大食漢から対策しないといけません。

当家の主婦も電気の使用感覚は余りありません。「照明がけっこう食う」とかの情報で,気をつけるわけですが,要求されるのは定量性です。

電気をたくさん食うものから対策しないと,細かいものにけちけちしてストレスだけ貯めてもバカバカしいだけです。

電気を大量に食うものは何でしょうか?

電気機器には年間の標準使用電力量[kWh]の表示が義務付けられている様で,たいがいこのような表示がありますが,どのくらいの方がこれをチェックされているでしょうか?

銘板.jpeg
裏っ側の手の届きにくいところなので,画像がブレています。消費電力が264W,年間標準使用電力量が288kWhと何とか読み取れます。


機器ごとに決められた通商産業省の基準で測定した数値です。
TVの場合だと,「一般家庭での1日の平均視聴時間(2012年度基準4.5時間/2026年度基準5.1時間)を基準に算出した,一年間に使用する電力量」だそうです。

これは,自動車のカタログ燃費のようなもので,かなり理想的・標準的?な試験方法で測定されたものでしょう。それでも一定条件での数字であれば,機器を選定する際に省エネ型かどうかの参考にはなります。


当方はそういう二次的な数値もさることながら,消費電力[kW]そのものをチェックします。当家では一日平均4時間や5時間など絶対に見ませんし1週間くらい全くつけない日もありますから,どう大目に見ても1・2時間でしょう。ですから使用時間で大幅に変動する数字は余りあてにしません。TVの場合はつけていた時間で割とはっきり出ますが,もっと曖昧なのは,エアコンです。家屋内での設置状況断熱性など機器以外の要素が多い上に,使用時間,冷房と暖房,設定温度によって大幅に異なってきます。北陸の一般民家でモニターしたら表示の1.7倍ほどだったというデータを見ました。

ちなみに,プラグを差したままでリモコンにスタンバイしている,いわゆる待機電力を気にされる方もしますが,上記のTVの場合で0.5Wだそうです。仮に1年間TVを全く見ずに待機電力のみかかったとしても,0.5×365×24=4380Wh=4.38kWhで,電気代で年間百円余り,ひと月なら10円ほど。むろん削れるものは削った方が良いですが,削りがいは少なそうで,他のものに目を向けた方が良さそうです。大昔,日立キドカラーの「ポンパ」は,かなり食ったもので,10W程度は食っていたのではないかと思います,アレは当時のブラウン管のフィラメントを予熱していたからでした。

TVでややショッキングなのは,有機ELテレビの消費電力の大きさです。
液晶TVの場合,液晶そのものは殆ど電力を食わず(液晶電卓とかでご覧の通り)バックライトが主な電力消費源ですが,有機ELは自発光素子なため画像は素晴らしくキレイな反面,電気は食います。液晶TVのほぼ2倍です。上のサイズの500W前後。リッチなご家庭では,気にされないでしょうが,当家には全く無用の長物です。


電力P[W(ワット)]をおさらいしておきますと,
まず,電力P[W]とは,

 P= VI

すなわち,電力[W]=電圧[V]×電流[A]

と表されます。家庭用の交流電圧は多くの場合100Vですから,その電圧(電気的な落差)で10Aの電流を機器に流し込めば,消費電力は1000Wすなわち1kWという事です。むろん200Vで10A流せば2kWです*。

水に例えれば,
 水力[W]=落差[m]×水流[N/s]
となります**。

水の場合は位置的な高さ[m]ですが,「単位重量の水が持つ位置エネルギー」とも言えます。ちょうど電圧(電位差)[V]が「単位電荷が持つ電気エネルギー」すなわち[J/C]と言えるのとも同じ事です。

位置的な高さの場合,物差しでも測る事が出来ますが,電気的な高さ[V]はエネルギーと電荷を使って決めるしかないわけです。


さて,この辺でイヤになる方もいらっしゃるかもしれませんが,ようは,なぜ電圧[V]と電流[A]を掛け算すると電力[W]になるのかという話です。電気の場合でも水流の場合でも,それぞれの量の持つ次元の積でしっかりと仕事率[J/s](=[W])の次元になっています。

当方基礎をしっかりさせないままの表面的な話はダメです。むろん,当方がアルバイトで担当する講義でもここまでは説明しません。電力消費の話をするには,まず,ポンと,

 電力[W]=電圧[V]×電流[A]

の式を上げます。「なぜそうなるか?」という疑問を持つ方はそう多くないようだからです。それに,消費電力[W]は各機器で決まりますので,この式じたいは節電活動には余り必要はないでしょう。

電気消費の話には,電力[W]すなわち,1s(秒)当たりのエネルギー消費量[J]が大きければ大きいのは当然ですが,もう一つ重要なファクターは使用時間です。消費電力P[W]に機器の使用時間[s]を掛ければ,消費電気エネルギー[J]が出ます。ただこれは単位として細かすぎるのと,元の電力の単位が見えなくなるので,敢えて電力を[kW]で表し,時間を秒[s]ではなく時間[h]ではかって,[kWh]***という電力量の単位を使います。これはSI単位系でも認められている単位です。節電活動にはこちらの掛け算式が重要です。

 電力量[kWh]=電力[kW]×時間[h]

電気代の単価にもなる1kWhは,エネルギーで言うと3600kJになります。ジュール[J]と言うエネルギーの単位です。カロリー[cal]と換算できる量です。

上でも書きましたが,単純な機器では消費電力[kW]×使用時間[h]で,消費電力量[kWh]が出ますが,エアコン,炊飯器,冷蔵庫など,比較的電気を食うものは,常時消費電力が状況に応じ自動調整されますので,一定の数字の算出は出来ません。

目に見えるもの,照明とかTVとかは,電気代を気にして消したりするのですが,最も食うエアコンの設定温度には無頓着だったりします。設定温度1度差でも相当に変わります。ただし,つけはじめは殆どフルパワーですので,あまり設定温度は関係ありませんが,室温が設定温度に向かうにつれ電力消費は減って行きます。設定温度と外気温との温度差が大きいほど一定運転での電力消費が大きくなってきます。従って外気温と室温の温度差が大きい暖房の方がずっと食います。大きな温度差での設定温度で一定運転になったところでずっと運転していると,ものすごい食っていたという事になりかねません。

文章と数式では,イメージ湧きにくいと思いますし,当家の家族にもいくら説明しても,ナカナカわかってもらえませんので,こんな図を作ってみました。
電力使用状況.png 縦の高さが消費電力[kW]で横が時間軸です。イメージ湧きやすい様に,家庭の1日の電気使用を表してみました。電力使用量[kWh]はこの図の面積に対応するわけです。

面積の大きなものから,縦・横を減らしていくと言うのが節電の戦略となります。ちなみに,照明は現在LEDであれば,数Wのものが10灯でも冷蔵庫程度でしょう。
*電圧が高い方が電力の効率的な利用には有利です。100Vでも200Vでも単に電流との掛け算だから同じじゃないか?という人がいますが,それは電力損失を無視した話で,現実の回路では電圧が2倍ならば同じ電力を使う際に電力損失は1/4になります。
**電気のパワーP=VI と水流のパワーを完全に対応付けるためには,電圧[V]=[J/C]を水頭[m]=[J/N]に,電流[A]=[C/s]を重量水流[N/s]に対応させられます。
***何度も書いていますが,素人ならまだしも電力のキロワット時[kWh]の表記が間違っている様な製品や記事は信用できません。
電気のイロハ,単位のイロハが分かってない人に,電気エネルギーの正確な議論が出来るとは思えません。現在使われているSI単位系では,千倍を表す接頭語キロ[k]は小文字で書きます。単位系では小文字と大文字は厳格に区別します。そうしないと,デタラメになるからです。接頭語でもミリ[m]とメガ[M]がありますが,これを混同したら10億倍間違う事になってしまいます。「まさかそんな馬鹿な間違いはしまい」と敢えて小さなケタと大きなケタに振ってあるわけですが,昨今の実態からしたらそれも危なそうですが。
 キロ[k]は基本単位系がcgs(センチ,グラム,秒)の時代は大文字[K]だったので,年配の方が間違うのはまだ許せますが,若い人が間違ったらダメです。mks(メートル,キログラム,秒)を基礎としたSI単位系の現代では,基本単位は小文字というルールから,質量は[kg]と書きます。そのため,本来大きな接頭語としてメガ[M]やギガ[G]と同様大文字だったキロ[K]が小文字に変更されたのです。そこに少し混乱があるようです。現在大文字のKは温度の単位ケルビンになっていますから,[Kg]とか,[Km]とか書くとケルビングラムとか,ケルビンメートルという世にも不思議な量になってしまいます。だから,[kWh]の[k]は小文字です。ワット[W]は組立単位で,基本単位から理論的に組み立てられ,その量に関して研究した人の名前など取って付けられ,必ず大文字です。人の名前だから大文字と覚えておいてもいいですし,組立単位であり,小文字の基本単位と区別するという意味もあります。
 時間の単位は基本秒[s]を使いますが,分[min]や時間[h]も一応は許されています。時間は基本単位ですから,小文字で書くことになっています。
 従って,正しい表記が,[kWh]です。
 ネット上でうんざりするくらい多い間違いが,「kwh」です。ワットさんが小文字でダメです。あるいは「Kwh」2重ペケです。もっと酷いのが,「KwH」。3重ペケです。気持ち悪くて見ていられません。

この記事へのコメント

  • てんてん

    (# ̄  ̄)σ・・・Nice‼です♪
    2025年04月17日 20:51
  • 八犬伝

    我が家はIHなんですよ。
    電気代、高いわけだ。
    2025年04月18日 10:52
  • Enrique

    てんてんさん

    Niceありがとうございます。
    2025年04月19日 10:37
  • Enrique

    八犬伝さん
    >
    >我が家はIHなんですよ。
    >電気代、高いわけだ。

    IHは強力ですが,それは大電力だからですね。
    エアコンやエコキュートは空気中の熱を使いますから,交換する熱量の割には電気の使用量は少ないです(電気使用量はコンプレッサーを回す負荷に応じます)。
    2025年04月19日 10:41
  • Enrique

    ok_rock_gtrさん
    >
    Niceありがとうございます。
    2025年04月19日 10:42
  • ロートレー

    電力使用量[kWh]を面積にすると非常に分かり易いですね
    電気冷蔵庫と電灯の省電力化はほぼ極限となると、我が家の場合
    TVの見過ぎ、U-tubeの見過ぎ、WEB徘徊が消費電力量見にかなり影響をあたえていそうです。
    でもそれしか娯楽がありませんのでささやかな贅沢かもしれませんね^^
    2025年04月27日 22:35
  • Enrique

    ロートレーさん
    >
    >電力使用量[kWh]を面積にすると非常に分かり易いですね
    >電気冷蔵庫と電灯の省電力化はほぼ極限となると、我が家の場合
    >TVの見過ぎ、U-tubeの見過ぎ、WEB徘徊が消費電力量見にかなり影響をあたえていそうです。

    パソコン関係の電力使用量はそう大したことないと思いますね。情報機器に使うのは電気の最も良い使い方だと思います。
    昔のペンティアムなんてCPUは,単体で100W以上食うものもありましたが,今のはマルチコア化で電力消費を下げていますね。

    冷蔵庫は電力は低いですが,何分ずーっと連続運転ですので,そうバカにもなりません。新型は電力消費が少ないですが,そのために壊れていもいない現状品を買い替える気は全くありません。当家では昼間蓄えた電気で十分賄えています。
    2025年04月29日 13:44