むろん,太陽光ではなく常時発電できる設備を持っていれば別ですが,現在のところそれは水力発電くらいしかありません。
仮に当家の契約電力の4kVA*を水力で賄うとすると,必要な水力資源をざっと見積もりますと,かりに効率100%としても,毎秒1tの水量を落差1.5m,あるいは,毎秒100kg落差15mほどの水量が必要です。むろん常時必要というわけではなく最大でですが,平均でもその1/4程度は必要です。これは山の中の一軒家で裏庭に大きな沢でもあるか,落差のある大きな溜め池でも持っていない限りムリです。
太陽光に限らず,風力でも事情は同じで,定格の風速(多くの場合が12m/s)が常時吹いているところなんて住宅地にはありません。おまけに風力のパワー(仕事率[W])は風速の3乗で発生しますから,仮に定格の半分の風速6m/sの風が吹いたって,定格電力の1/8しか発生しません。家庭用用途としては,メイン電源としてはムリです。メインを太陽光として,夜や天候の悪い際の補助電力としては有用そうですが,やはり太陽光以上にムラのある電源ですから蓄電池の併用は必須です。
そこで専門業者にお願いして市販の専用の蓄電池を使ったのでは,元をとるのは容易ではありません。
当家などは,全て電力会社の電気を使っても年間の電気代が10〜20万円ですから,仮にこれが完全に0円になるとしても,蓄電池だけの設備費用に100万円以上もかけたのではモトを取れる気がしません。補助金制度がありますが補填されるのは1/3程度。それに当方のような実験的運用には全くそぐいません。
当方は,一昨年から太陽光発電を試験的に始め,生活との折り合いの感触を探ってきました。
何分,試験的運用ですから,トラブった時はその都度対処すれば良いと思うのですが,妻などは大いにストレスが溜まる様です。ストレスはお金に替えられませんから,それなりの対策が必要です。
まるまる1年間くらいは,「何時か落ちるかも?」という不安を抱かせていました。使用しているハイブリッド・インバータ自体の機能として,バッテリーの電力が不足すると,自動的に市電に切り替わるはずなのですが,間に合わずに落ちることがありました。機器の欠陥でしょうが,これは仕方ありません。逆に,低気温・低負荷時に雲間などから強力な太陽光が差し込むと,一瞬定格開放電圧をわずかに超えた電圧を発生する事がある様で,発電電圧オーバーでも落ちました。やむを得ず直列12枚のパネルを1枚間引き休ませ,11枚運用としました。常時パネルを1枚休ませるのはもったいないので,電圧オーバー時のみパネルを1枚外す仕掛けを稼働させましたが,国産の電圧センサースイッチがすぐ壊れたので,止む無く元にもどしました。
ギリギリ欲張りすぎるのも「過ぎたるは及ばざるが如し」。反省です。
しかしながら,その辺の事象は事前のデータアセスメントからは全く想像がつかず,実際に約1年間運用してみて初めて明らかになった問題点でした。
バッテリー電力不足によるダウンにしろ,太陽光発電電圧過剰によるダウンにしろ,「原因などどうでも良いから,落ちないようにして下さい」という妻からの天の声に従うしかありません。何分消費者はワガママです(笑)。
そこで今春取った対策が,自動切り替えスイッチでした。
太陽光+バッテリーのシステムがダウンした際,瞬時に商用電源に切り替わる事を確認できました。ただし,それはインバータの自動切り替えがうまく行かない際のバックアップです。さらに,それもダメな場合は,ナイフスイッチで手動で切り替える事にします。それはまずあり得ない事ですが,ありえる利用としては,停電をさせずに太陽光発電機器のメンテをする際などに使えます。これにしてから,2,3度トラブルはありましたが,無事市電に切り替わって,見かけ上は停電していませんので,今のところ妻の信頼は得ています。
また,今春からは,従前の鉛酸バッテリーをリチウム燐酸バッテリーに置き替えました。この効果がかなり大きいです。公称の電力容量は10kWh程度で大差ないのですが,実際に運用できる蓄電量が大幅に向上し,現在のところ,昼間に貯めた電力を夜中に余裕を持って使う事が出来るので,電気代ゼロ生活に入っています。ただし従前の電力会社の契約のままなので基本料金のみ掛かります。今後契約を変えれば,電気代完全ゼロにもなりますが,何分エアコン負荷が最も大きいので,夏場を無事市電ゼロで乗り切れるかどうかが,当面の課題です。発電量が減って電力使用量が増える冬場はムリだと思いますので,それまでに対応を考えます。
◆
とりあえず,5月分の電力使用量0kWhを達成しましたが,基本料金は掛かりますので0円にはなりませんが。
左図は月別電力使用量,右図は電力料金。それぞれ色の濃い方が今年で薄い方が前年同月。
全く使わない留守宅扱いなのか,基本料金は安くなるようです。
追記:
市電電力使用極小を達成するには,蓄電池の増強はハードウェア的に重要ですが,ハイブリッドインバータ(コントローラ)の動作設定もかなり重要です。電力供給が不安定で電気代が安い国での使用を想定していると思われる初期設定を,逆パターンに変更するのもカギでした。
*むろん200Vで使えば8kVAですが,殆どの機器が100V仕様かつ,使用のインバータは単相100Vなので,揃えました。
この記事へのコメント
八犬伝
色々と試されている中で
電力使用量0を到達したのですね。
てんてん
ロートレー
ローコストの太陽光発電設備でも自宅の全消費電力量を賄うことが出来るものなんですね~
余剰電力を電力会社に売ることが出来ると、更にコストは削減されるのでしょうね
今後の展開が楽しみです(^^)
Enrique
ありがとうございます。
パネル容量は十分だったのですが,課題は夜や悪天候時の賄いでした。バッテリーの増強と機器の最適設定が功奏しました。冬までこれで行けるとハッピーです。
Enrique
ありがとうございます!
Enrique
>ローコストの太陽光発電設備でも自宅の全消費電力量を賄うことが出来るものなんですね~
設備工事費は自分持ちでタダですので,ローコストです。パネルとかはそれなりです。8万円/kW程でしょうか。
>余剰電力を電力会社に売ることが出来ると、更にコストは削減されるのでしょうね
確かに余剰電力が売れればムダになりませんが,売電価格は現在15円/kWhです。これが8.5円/kWhまで下がるそうです。一方買電価格が30円/kWh以上でどんどん上がっていますから,売るよりも買わない方がずっとおトクです。
当方当初より売電できる高いシステムよりも,オフグリッドで停電時でも使えるお安い独立電源を目指してきました。
おまけに売電は,天気が良くてあちこちで電気が余ると,出力制御が掛かり,売りたくても売れないケースがあるとの事です。
ということで設備費が掛かるゼロ以下(売電収入)は求めない事にしました。
現在,自動車用が量産されるためかLi蓄電池が安くなったのが助かりました。
アヨアン・イゴカー
Enriqueさんの取り組みは素晴らしいです。私は何もできません。
安定的で環境負荷の少ないエネルギーを確保する、これは国を挙げて取り組むべき課題だと思います。
Enrique
>
>安定的で環境負荷の少ないエネルギーを確保する、これは国を挙げて取り組むべき課題だと思います。
仰る通りですね。
太陽光が最善とも思いませんが,現在最も簡単に実用的な電力を得られるのがコレです。現在蓄電池で夜や荒天時のカバーをしていますが,季節によっては足りない可能性もあるので現在それを補うサブシステムを考えています。